特許活用ガイド

ASEAN特許制度のハーモナイゼーション — 統一出願の可能性

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この記事のポイント

ASEAN加盟国の特許制度の現状と統一化の動きを解説。ASPEC制度の活用法と各国の出願戦略をPatentMatch.jpがお届けします。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済成長に伴い、東南アジアでの特許取得の重要性が増しています。しかし、10カ国それぞれ異なる特許制度を持つASEANでは、出願戦略に工夫が必要です。


ASEAN各国の特許制度比較

主要国の制度概要

特許庁審査期間実体審査特許期間
シンガポールIPOS12~18ヶ月あり20年
タイDIP36~60ヶ月あり20年
マレーシアMyIPO24~36ヶ月あり20年
インドネシアDGIP36~48ヶ月あり20年
ベトナムIP Vietnam36~48ヶ月あり20年
フィリピンIPOPHL24~36ヶ月あり20年
ミャンマーMIPO新制度運用中あり20年
カンボジアMIH再審査なし※20年

※カンボジアはシンガポールの審査結果を認証する制度あり


ASPEC制度の活用

ASECとは

ASPEC(ASEAN Patent Examination Co-operation)は、ASEAN域内で特許審査結果を共有する制度です。

仕組み

  1. ASEAN加盟国の1つで特許を取得
  2. その審査結果をASPEC申請として他の加盟国に提出
  3. 他の加盟国の審査官が参考にして迅速に審査

メリット

  • 各国での審査期間を大幅に短縮
  • 追加費用なし(各国の出願費用のみ)
  • 類似のクレームで各国の特許を取得しやすい

対象国

シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ブルネイ、ラオスの9カ国が参加しています。


国別の出願戦略

シンガポール

ASEANで最も整備された知財制度を持ちます。審査品質が高く、他のASEAN国への展開の起点として最適です。PPH(特許審査ハイウェイ)も日本との間で利用可能です。

タイ

市場規模が大きく、特に自動車・食品分野で重要です。審査が遅い(3~5年)ため、早期審査の活用やASPECの利用を推奨します。

インドネシア

人口2.7億人の巨大市場ですが、審査期間が長く、知財保護の実効性にも課題があります。模倣品対策も含めた包括的な知財戦略が必要です。

ベトナム

製造拠点として急成長中で、特に電子機器・繊維分野での特許取得が増加しています。日本からの出願も増加傾向にあります。


統一特許制度の展望

現状の課題

  • 各国の経済発展レベルの格差
  • 法制度・審査基準の不統一
  • 審査能力の差(シンガポールは先進国水準、他は発展途上)
  • 翻訳言語の多様性

将来の可能性

EU統一特許のようなASEAN統一特許は、近い将来の実現は困難と見られています。しかし、ASPECの拡充や審査基準の段階的な統一は進む見込みです。


日本企業へのアドバイス

  1. シンガポール起点戦略:まずシンガポールで出願し、ASPECで展開
  2. PPHの活用:日本の審査結果を活用して各国の審査を短縮
  3. 市場規模に応じた出願国選定:全10カ国に出願する必要はなく、事業展開国を優先
  4. 模倣品対策の並行実施:特許取得と同時に税関登録や行政取締を活用

PatentMatch.jpでは、ASEAN特許出願の戦略コンサルティングを提供しています。

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