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フランスでの特許出願手続きを解説。INPI(フランス産業財産庁)への申請手順、費用、審査の特徴、UPC参加の影響まで。
フランスは欧州第2位の経済大国であり、航空宇宙、原子力、化粧品、食品などの分野で世界をリードする技術力を持つ。INPI(Institut National de la Propriété Industrielle)が知財全般を管轄している。本記事ではフランスでの特許出願実務を解説する。
フランス特許制度の概要
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄機関 | INPI(フランス産業財産庁) |
| 特許期間 | 出願日から20年 |
| 審査制度 | 実体審査あり(ただし進歩性は審査対象外であった。2020年法改正で変更) |
| 言語 | フランス語 |
| PCT加盟 | 加盟済み |
| EPC加盟 | 加盟済み |
| UPC参加 | 参加済み |
2020年法改正の影響
2020年の法改正により、フランス国内特許の審査で進歩性が審査対象に追加された。これにより、従来の新規性のみの審査から、より実質的な審査が行われるようになった。登録特許の質の向上が期待されている。
出願手続き
INPIへの出願
出願はフランス語で行う必要がある。英語での出願も受け付けられるが、2か月以内にフランス語翻訳を提出する必要がある。
審査の流れ
- 方式審査
- 先行技術調査報告書の作成(EPOに委託)
- 出願公開(出願から18か月後)
- 実体審査(新規性・進歩性)
- 登録・公報発行
審査期間は2〜4年程度である。
必要書類
- 明細書・クレーム・要約書(フランス語)
- 図面
- 委任状
- 優先権証明書(該当する場合)
費用の目安
| 項目 | 概算費用 |
|---|---|
| 出願手数料 | 約38 EUR(電子出願) |
| 調査報告書料 | 約520 EUR |
| 登録料 | 約90 EUR |
| 翻訳費用(フランス語) | 約15〜25万円 |
| 現地代理人費用 | 約30〜50万円 |
フランスの出願手数料は欧州の中でも比較的安価である。
UPCとフランス
パリ中央部門
UPCの中央部門はパリに設置されており、特許侵害訴訟の主要な管轄裁判所となっている。パリはミュンヘンと並ぶ欧州知財訴訟の中心地としての地位を確立している。
実務上の影響
フランスで効力を持つ欧州特許はUPCの管轄下に置かれる。オプトアウトを選択しない限り、UPCでの訴訟が可能となる。
フランスの主要技術分野
航空宇宙
エアバス、サフラン、タレスなどの航空宇宙企業がフランスに本拠を置き、航空機構造、エンジン技術、航空電子機器の特許を多数保有している。
原子力
フランスは電力の約70%を原子力で賄っており、原子炉設計、核燃料サイクル、放射性廃棄物処理の技術特許が蓄積されている。
化粧品・ファッション
ロレアル、LVMH等の企業が化粧品成分、製造技術、パッケージングの特許を活発に出願している。ファッション業界では意匠権との組み合わせが重要である。
防衛・安全保障
フランス国防関連の発明には安全保障上の制約がかかる場合がある。機密発明(invention secrète)の制度により、一定期間の秘密保持が義務付けられることがある。
まとめ
フランスは欧州の知財戦略において不可欠な市場であり、2020年法改正による審査制度の強化とUPC中央部門の設置により、その重要性がさらに高まっている。フランス語翻訳の必要性はコスト要因ではあるが、欧州第2位の市場をカバーする価値は大きい。