この記事のポイント
オランダでの特許出願手続きを解説。欧州本社機能としてのオランダ、RVO申請、UPC中央部の役割、ASML・フィリップスの知財環境。
オランダは多くの多国籍企業が欧州本社を置く知財ハブとして知られている。ASML、フィリップス、ユニリーバなどの本拠地であり、UPC(統一特許裁判所)の中央部門(特許取消部門)もハーグに設置されている。本記事ではオランダでの特許出願実務を解説する。
オランダ特許制度の概要
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄機関 | RVO(Netherlands Enterprise Agency) |
| 特許期間 | 出願日から20年 |
| 審査制度 | 登録特許(無審査6年)と特許(審査あり20年)の2種類 |
| 言語 | オランダ語または英語 |
| PCT加盟 | 加盟済み |
| EPC加盟 | 加盟済み |
| UPC参加 | 参加済み |
オランダの2つの特許制度
オランダ独自の特徴として、2種類の特許制度が存在する:
| 種類 | 登録特許(Registratie-octrooi) | 特許(Octrooi) |
|---|---|---|
| 審査 | 方式審査のみ | 実体審査あり |
| 保護期間 | 6年(更新不可) | 20年 |
| コスト | 低い | 高い |
| 推奨場面 | 短期保護、コスト重視 | 長期保護、権利の安定性重視 |
出願ルート
選択肢
- RVOへの直接出願:オランダ市場のみを対象とする場合
- 欧州特許(EPO)経由:EPOはハーグに本部があり、オランダ指定が可能
- PCT経由:国際展開を視野に入れる場合
EPO経由でオランダを指定する場合、有効化手続きは比較的簡便である。
UPC中央部門としてのハーグ
ハーグの役割
UPCの中央部門の一つがハーグに設置されており、主に特許取消訴訟を管轄する。これによりオランダは欧州の知財訴訟の中心地の一つとなっている。
実務上の影響
- 欧州特許の無効訴訟がハーグで集中的に処理される
- オランダの弁護士・弁理士が欧州知財訴訟の専門家として活躍
- オランダに知財部門を置くことの戦略的価値が向上
オランダの技術・産業環境
半導体装置
ASMLは半導体露光装置の分野で圧倒的なシェアを持ち、EUVリソグラフィーに関する膨大な特許ポートフォリオを保有している。半導体サプライチェーンにおけるオランダの知財は世界的に重要である。
アグリ・フードテック
オランダは農業技術先進国であり、温室栽培技術、種苗技術、食品加工技術の特許出願が活発である。ワーヘニンゲン大学を中心にした産学連携も盛んである。
水管理技術
国土の多くが海面下にあるオランダは、水管理・治水技術で世界をリードしている。堤防技術、排水システム、水質管理の特許が多い。
費用の目安
| 項目 | 概算費用 |
|---|---|
| 出願手数料(特許) | 約120 EUR |
| 審査請求料 | 約100 EUR |
| 現地代理人費用 | 約30〜50万円 |
| 年金(初年度) | 約40 EUR |
まとめ
オランダは欧州の知財ハブとしての地位を確立しており、UPC中央部門の設置がその役割をさらに強化している。欧州での知財戦略を構築する際には、オランダを拠点とした戦略的アプローチが有効である。