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ニュージーランドでの特許出願手続きを解説。IPONZ(ニュージーランド知的財産庁)の審査基準、オーストラリアとの比較、費用一覧。
ニュージーランドは人口約500万人の小国ながら、透明性の高い法制度とビジネスフレンドリーな環境で知られている。2013年の新特許法施行により、審査基準が国際水準に近づき、より実質的な審査が行われるようになった。
ニュージーランド特許制度の概要
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄機関 | IPONZ(Intellectual Property Office of New Zealand) |
| 特許期間 | 出願日から20年 |
| 審査制度 | 実体審査あり |
| 言語 | 英語 |
| PCT加盟 | 加盟済み |
| パリ条約 | 加盟済み |
2013年特許法の主な変更点
旧法(1953年法)から新法(2013年法)への移行により、以下の変更が行われた:
- 絶対的新規性の採用(旧法は相対的新規性)
- 進歩性の基準厳格化
- ソフトウェア特許の制限強化
- 異議申立制度の整備
出願手続きの実務
出願ルート
PCT経由(国内移行期限31か月)またはパリ条約に基づく直接出願が可能である。オーストラリアと同時出願するケースが多い。
審査請求と期限
出願から5年以内に審査請求を行う必要がある。審査請求後、最初のオフィスアクション(審査報告書)が発行されてから12か月以内に全ての拒絶理由を解消する必要がある。
費用の目安
| 項目 | 概算費用 |
|---|---|
| 出願手数料 | 約250 NZD |
| 審査請求料 | 約550 NZD |
| 登録料 | 約300 NZD |
| 現地代理人費用 | 約30〜50万円 |
ソフトウェア特許に関する注意
コンピュータプログラムの除外規定
ニュージーランド特許法は「コンピュータプログラムそのもの」を特許対象から明示的に除外している。ただし、コンピュータプログラムが組み込みシステムの一部として機能する場合や、産業プロセスを制御する場合には特許対象となり得る。
この規定はITスタートアップが多いニュージーランドで議論を呼んだが、物理的な効果を伴う発明は引き続き保護される。
オーストラリアとの比較
| 比較項目 | ニュージーランド | オーストラリア |
|---|---|---|
| ソフトウェア特許 | 厳格に制限 | 比較的柔軟 |
| 審査期間 | 2〜3年 | 2〜4年 |
| 異議申立 | 付与前・付与後 | 付与前 |
| イノベーション特許 | なし | あり(2021年廃止) |
| 費用感 | 比較的安価 | やや高め |
オーストラリアとニュージーランドの両方で事業を行う場合は、両国での同時出願を検討すべきである。
日本企業へのアドバイス
出願判断のポイント
ニュージーランド市場は規模が限定的であるため、以下の場合に出願を検討すべきである:
- 農業・酪農関連技術(ニュージーランドの主要産業)
- ハードウェア・IoT関連技術
- オーストラリアと同時展開する技術
現地代理人の活用
IPONZへの出願にはニュージーランドの弁理士の代理が必要である。オーストラリアの弁理士がニュージーランドの資格も保有しているケースが多く、オセアニア地域を一括で対応できる。
まとめ
ニュージーランドは透明性の高い知財制度を持つが、ソフトウェア特許の制限には特に注意が必要である。オーストラリアとの連携を視野に入れたオセアニア全体の知財戦略を構築することが効果的である。