この記事のポイント
特許庁が展開するスタートアップ向け知財支援「IP Acceleration Program」の内容を解説。知財メンタリング、早期審査、IP Baseなどの支援メニューを紹介します。
特許庁のスタートアップ支援戦略
特許庁は、日本のスタートアップエコシステムの強化に向けて、知財面からの包括的な支援を展開しています。「IP Acceleration Program」は、スタートアップが知財を武器に成長するための多角的な支援プログラムです。
IP Acceleration Programの主要施策
IP BASE — スタートアップ向け知財コミュニティ
IP BASEは、特許庁が運営するスタートアップ向けの知財情報プラットフォームです。
| 提供サービス | 内容 |
|---|---|
| 知財ポータルサイト | 知財の基礎知識、FAQ、事例集 |
| メンタリング | 知財専門家によるマンツーマン指導 |
| ネットワーキング | スタートアップ・VCとの交流イベント |
| 知財レポート | スタートアップ知財動向の定期発信 |
スーパー早期審査
スタートアップが出願した特許の審査を通常よりも大幅に早く処理する制度です。
- 通常審査: 平均9〜10ヶ月
- 早期審査: 平均2〜3ヶ月
- スーパー早期審査: 平均1ヶ月以内
スタートアップは、以下の条件を満たすことでスーパー早期審査を利用できます。
- 中小企業・スタートアップであること
- 実施関連出願または外国関連出願であること
- 先行技術調査を実施していること
知財アクセラレーションプログラム
VCや事業会社と連携し、スタートアップの知財戦略構築を集中的に支援するプログラムです。
スタートアップが知財で犯しがちな失敗
失敗1:出願のタイミングが遅い
プロダクトのリリース後に特許出願しようとして、新規性を喪失してしまうケースが多発しています。
対策: MVPの開発段階で特許出願を済ませる。仮出願や新規性喪失の例外適用も検討する。
失敗2:知財戦略がない
技術は優れているのに、知財の観点が事業計画に含まれておらず、VCからの評価が低くなるケースがあります。
対策: 事業計画書に知財戦略のセクションを設ける。IP BASEのテンプレートを活用する。
失敗3:共同創業者間の知財の取り決めが曖昧
共同創業者が離脱した際に、知財の帰属をめぐってトラブルになるケースです。
対策: 創業時に知財の帰属に関する合意書を締結する。
VCが重視する知財のポイント
投資家がスタートアップの知財を評価する際の主な観点は以下の通りです。
特許ポートフォリオの質
- クレームの広さと深さ
- 競合との差別化を示す特許の有無
- 国際出願の状況
知財リスク
- 第三者の特許を侵害するリスク
- FTO(Freedom to Operate)調査の実施状況
- 係争中の知財案件の有無
知財戦略の成熟度
- 知財担当者の有無
- 出願計画の体系性
- ライセンス収入の可能性
活用のステップ
- IP BASEに登録: 無料で知財に関する情報にアクセスできる
- 知財メンタリングを申し込む: 自社の知財課題を専門家に相談
- スーパー早期審査を活用: コア技術の特許を迅速に取得
- 知財アクセラレーションに参加: VCとの接点を作りながら知財戦略を構築
まとめ
特許庁のスタートアップ支援は年々充実しており、知財を「コスト」ではなく「成長のための武器」と位置づけるスタートアップが増えています。IP Acceleration Programの各種支援を最大限活用し、知財で競争優位を築きましょう。