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特許侵害損害賠償の計算方法 — 3つのアプローチと実務上の論点

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この記事のポイント

特許侵害の損害賠償額の計算方法を解説。逸失利益、侵害者利益、合理的ロイヤリティの3つのアプローチと実務上の論点を紹介します。

損害賠償の重要性

特許侵害訴訟において、損害賠償額の算定は最も複雑かつ重要な争点の一つです。適切な損害賠償を請求するためには、各算定方法の特徴と適用条件を理解する必要があります。

日本の損害賠償算定方法

日本の特許法は、以下の3つの損害賠償算定方法を規定しています。

方法1:逸失利益(特許法102条1項)

侵害行為がなければ特許権者が得られたはずの利益を算定します。

計算式:損害額 = 侵害品の譲渡数量 × 特許権者の製品1個あたりの利益額

適用条件

  • 特許権者が自ら実施している(製品を販売している)こと
  • 侵害行為と販売減少の因果関係が認められること

方法2:侵害者利益(特許法102条2項)

侵害者が侵害行為により得た利益を損害額と推定します。

計算式:損害額 = 侵害者の利益額

メリット:特許権者自身の販売データがなくても算定可能

注意点:侵害者は、利益が特許発明以外の要因に起因する部分の控除を主張できます(寄与度の問題)。

方法3:合理的ロイヤリティ(特許法102条3項)

特許の実施に対して受けるべき合理的な実施料相当額を損害額とします。

計算式:損害額 = 侵害品の売上高 × 合理的ロイヤリティ率

適用場面:逸失利益や侵害者利益の立証が困難な場合の最低保証として機能します。

実務上の重要論点

寄与度の問題

侵害品の利益のうち、特許発明がどの程度寄与しているかが争点になります。多機能製品の場合、特許はその一部の機能に関するものであり、利益全体を損害とすることは不合理です。

損害賠償の増額

2019年の特許法改正により、合理的ロイヤリティの算定において、侵害の事実を考慮した「増額」が認められるようになりました。ライセンス交渉とは異なり、侵害者は無断で実施していたのであり、通常のロイヤリティよりも高い額が認められる傾向にあります。

間接侵害の損害額

間接侵害(侵害品の部品を供給する行為など)の場合、損害額の算定はさらに複雑になります。部品の販売数量と完成品の侵害の関係を整理する必要があります。

証拠の確保

損害賠償を適切に請求するためには、侵害の証拠を確保することが重要です。

  • 侵害品の購入・保全
  • 侵害品の分析結果の記録
  • 侵害者の販売実績の情報収集
  • 自社の販売データの整理

まとめ

特許侵害の損害賠償は、逸失利益、侵害者利益、合理的ロイヤリティの3つの方法で算定されます。各方法の特徴を理解し、事案に応じた最適な主張を構築しましょう。

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