特許侵害に関するよくある質問
特許侵害は企業にとって深刻なリスクです。侵害する側・される側の両方の視点から、代表的な疑問に回答します。
Q1: 特許侵害はどう判断されますか?
A: 対象製品が特許の請求項(クレーム)の構成要素を全て充足するかで判断します。
| 判断方法 | 内容 |
|---|
| 文言侵害 | クレームの文言通りに全要素を充足 |
| 均等侵害 | 一部が異なるが実質的に同一の技術 |
| 間接侵害 | 侵害品の製造にのみ使用する部品の製造・販売 |
均等侵害の5要件(最高裁判例)
- 非本質的部分であること
- 置換可能性があること
- 置換容易性があること
- 出願時の公知技術ではないこと
- 出願経過で意識的に除外していないこと
Q2: 他社から警告書が届いたらどうすればよいですか?
A: 以下のステップで冷静に対応します。
| ステップ | アクション | 期限目安 |
|---|
| 1 | 内容の確認と期限の把握 | 受領当日 |
| 2 | 社内報告(法務・経営層) | 受領当日 |
| 3 | 外部弁護士・弁理士に相談 | 1週間以内 |
| 4 | 対象特許の有効性を調査 | 2週間以内 |
| 5 | 自社製品と特許の対比分析 | 2〜3週間以内 |
| 6 | 対応方針の決定・回答 | 指定期限内 |
Q3: 特許侵害で訴えられた場合の損害賠償額は?
A: 数百万円〜数十億円まで、事案によって大きく異なります。
| 算定方法 | 条文 | 概要 |
|---|
| 逸失利益 | 特許法102条1項 | 侵害者の譲渡数量 × 権利者の利益 |
| 侵害者利益 | 特許法102条2項 | 侵害者が得た利益額 |
| ロイヤリティ相当額 | 特許法102条3項 | 通常のライセンス料相当額 |
Q4: 無効の抗弁とは何ですか?
A: 訴えられた側が「その特許は無効だから侵害にはならない」と反論する手段です。
特許法104条の3により、特許が無効審判で無効にされるべきものと認められる場合、権利行使は認められません。
Q5: 差止請求とは何ですか?
A: 侵害品の製造・販売の停止を求める請求です。
| 請求の種類 | 内容 |
|---|
| 侵害行為の停止 | 製造・販売・使用の禁止 |
| 予防的請求 | 侵害のおそれがある行為の予防 |
| 廃棄請求 | 侵害品・製造設備の廃棄 |
Q6: 特許訴訟の管轄裁判所はどこですか?
A: 東京地裁または大阪地裁の専属管轄です。
| 審級 | 管轄 | 概算期間 |
|---|
| 第一審 | 東京地裁/大阪地裁 | 約1〜2年 |
| 控訴審 | 知的財産高等裁判所 | 約6ヶ月〜1年 |
| 上告審 | 最高裁判所 | 約6ヶ月 |
Q7: 特許侵害を未然に防ぐにはどうすればよいですか?
A: FTO(Freedom to Operate)調査を定期的に実施します。
- 自社製品に関連する特許を網羅的に調査
- クレームと自社製品の構成要素を対比
- 侵害リスクの評価と対策の検討
- 設計変更・ライセンス取得・無効化の判断
Q8: 水際措置(輸入差止)とは何ですか?
A: 税関で侵害品の輸入を差し止める制度です。
- 特許権者が税関に申立て
- 認定手続きを経て輸入差止
- 費用は比較的低廉(申立手数料不要)
- 国内訴訟と並行して利用可能
Q9: 先使用権とは何ですか?
A: 他社の特許出願前から同じ技術を実施していた場合に、引き続き実施できる権利です。
| 要件 | 内容 |
|---|
| 実施の事実 | 特許出願前に実施または準備していたこと |
| 独自の発明 | 独自に発明したものであること(模倣は不可) |
| 実施の範囲 | 既存の事業目的の範囲内 |
Q10: NPE(パテントトロール)からの攻撃にどう対応しますか?
A: 以下の対応策を検討します。
| 対応策 | 内容 | 効果 |
|---|
| 無効化 | 特許の無効審判を請求 | 根本的解決 |
| 非侵害主張 | クレーム解釈の争い | 侵害認定の回避 |
| 和解交渉 | ライセンス料の支払い | 早期解決 |
| 防衛連合 | LOT Network等への参加 | NPEリスクの低減 |
| IPR | 米国特許の場合、PTABでの無効化手続き | 訴訟より低コスト |
特許侵害のリスクは事前の調査と準備で大幅に軽減できます。この知識を活用して知財リスクをマネジメントしましょう。