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海外特許FAQ — PCT・パリ条約・各国制度のよくある質問

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この記事のポイント

海外特許出願に関するよくある質問をまとめました。PCTルート、パリルート、各国の制度の違いなど、国際出願の疑問に回答します。

海外特許に関するよくある質問

海外での特許取得は、国内とは異なるルールや手続きが求められます。ここでは海外特許に関する代表的な疑問に回答します。

Q1: 「世界特許」は存在しますか?

A: 存在しません。特許権は国ごとに取得する必要があります。

PCT(特許協力条約)は出願手続きを簡略化する国際的な枠組みですが、「PCT特許」という権利は存在しません。最終的には各国の特許庁で個別に審査・登録を受ける必要があります。

Q2: PCTルートとパリルートの違いは?

A: 出願先の決定までの猶予期間が異なります。

比較項目PCTルートパリルート
出願先の決定期限優先日から30ヶ月優先日から12ヶ月
初期費用中程度各国ごとに即発生
国際調査報告ありなし
適するケース3カ国以上/出願先未定1〜2カ国/出願先確定
加盟国数約157カ国約177カ国

Q3: 米国特許の出願で注意すべきことは?

A: 以下の米国特有の制度に注意が必要です。

制度内容注意点
IDS義務関連する先行技術の開示義務違反すると特許無効のリスク
仮出願正式出願前の仮出願制度12ヶ月以内に正式出願が必要
継続出願親出願から派生する継続出願権利範囲の拡張に活用
先発明主義→先願主義2013年以降は先願主義出願日の早さが重要
ダブルパテント同一発明の重複特許禁止ターミナルディスクレーマーで対応

Q4: 欧州特許の仕組みを教えてください。

A: EPO(欧州特許庁)で一括審査し、各国で有効化します。

  1. EPO出願: 英語・ドイツ語・フランス語のいずれかで出願
  2. 審査: EPOが一括して審査
  3. 登録: EPOで特許付与
  4. 有効化: 各指定国で翻訳提出・登録手続き
  5. 単一特許: EU単一特許制度(2023年〜)も選択肢

Q5: 中国特許で気をつけることは?

A: 以下の中国特有の制度に注意してください。

項目内容
実用新案無審査登録のため権利行使時に評価報告書が必要
秘密保持審査中国で完成した発明は外国出願前に秘密保持審査が必要
翻訳品質中国語翻訳の品質が権利範囲に直結
進歩性判断日本より厳しい傾向
権利行使行政ルート(知識産権局)と司法ルート(法院)の二系統

Q6: 海外出願の費用はどのくらいですか?

A: 1カ国あたり100〜300万円が目安です。

出願〜登録の概算費用主な費用要素
米国150〜250万円翻訳・現地代理人
欧州(EPO)200〜350万円翻訳・各国有効化
中国80〜150万円翻訳・実体審査
韓国70〜120万円翻訳・実体審査
インド80〜130万円翻訳・現地代理人

Q7: 外国出願の補助金はありますか?

A: JETRO・各都道府県の補助金が利用できます。

制度補助率上限額対象
JETRO外国出願支援1/2300万円中小企業
都道府県外国出願支援1/2〜2/3150万円中小企業
INPIT海外知財支援無料相談全企業

Q8: PPH(特許審査ハイウェイ)とは何ですか?

A: 一カ国で特許査定を受けた出願を基に、他国での審査を加速する制度です。

  • 特許率: PPH利用時は約80〜90%(通常より高い)
  • 審査期間: 通常の半分程度に短縮
  • 対象国: 日本と相互協定を結んでいる約40カ国
  • 費用: 追加費用なし(PPH申請自体は無料)

Q9: 各国で権利範囲が異なることはありますか?

A: はい。同じ発明でも各国の審査基準で権利範囲が異なる場合があります。

要素国による差異
進歩性の判断基準日米欧で基準が微妙に異なる
ソフトウェア特許性日本・米国は広く認容、欧州は限定的
医療方法特許日本・欧州は不可、米国は可能
用途限定の効力国により解釈が異なる

Q10: 台湾への出願はどうすればよいですか?

A: 台湾はPCT非加盟のため、パリルートまたは直接出願が必要です。

  • 優先権主張: 日本出願から12ヶ月以内にパリルートで出願
  • 翻訳: 中国語(繁体字)への翻訳が必要
  • 審査制度: 日本と類似(実体審査あり)
  • PPH: 日台PPHが利用可能

海外特許は各国の制度を理解した上で、最適なルートと出願先を選択することが重要です。

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