特許活用ガイド

情報提供制度の活用 — 第三者として他社特許に異議を唱える

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この記事のポイント

特許庁への情報提供制度を解説。競合他社の特許出願に対して第三者として先行技術を提出する方法、タイミング、戦略的活用法を紹介。

「競合他社が出願した特許が登録されると自社事業に影響がある」——そのような場合に活用できるのが情報提供制度である。匿名で先行技術を特許庁に提出し、審査に反映させることが可能なこの制度は、防御的知財戦略の重要なツールである。


情報提供制度とは

制度の概要

項目内容
根拠法特許法施行規則13条の2・3
利用者何人も(匿名可)
時期出願公開後いつでも(審査係属中が効果的)
費用無料
提出方法書面またはオンライン
匿名性匿名での提出が可能

異議申立制度との違い

比較項目情報提供特許異議申立
時期審査前〜審査中登録公報発行後6か月以内
費用無料有料(16,500円〜)
匿名性可能申立人名の記載が必要
審理審査官が参考にする正式な審理手続き
拘束力なしあり(取消決定の可能性)

情報提供の方法

提出する資料

以下の資料を情報提供書とともに提出する:

  1. 先行技術文献(特許公報、学術論文、技術カタログ等)
  2. 公知事実の証拠(展示会カタログ、製品写真、ウェブページのスクリーンショット等)
  3. 技術説明資料(先行技術と対象出願の対比説明)

効果的な情報提供のポイント

  • 対象出願のクレームの各構成要素に対応する先行技術の記載箇所を具体的に指摘する
  • 複数の引用文献を提出する場合は、組み合わせの動機づけも説明する
  • 審査官が理解しやすいよう、対比表を作成する

戦略的な活用場面

場面1:競合の基本特許の阻止

競合他社が広範なクレームで出願している場合、先行技術を提出して新規性・進歩性を否定する。

場面2:パテントトロール対策

広い権利範囲の特許を取得しようとするパテントトロールに対し、先行技術を提出して権利範囲を限定させる。

場面3:業界標準の確保

特定企業が標準技術に関する特許を取得しようとしている場合、その技術が公知であることを示す証拠を提出する。


情報提供のタイミング

最も効果的なタイミング

タイミング効果実務上の考慮
出願公開直後審査前に審査官に情報が渡る審査請求前で審査官未定の場合あり
審査請求後・審査着手前最も効果的審査官が参考にしやすい
拒絶理由通知後追加情報として有効応答期限を意識
特許査定後情報提供不可、異議申立へ別手続きが必要

審査請求があったことをJ-PlatPatで確認した後に提出するのが、最も費用対効果が高い。


注意事項

情報提供が逆効果になるケース

  • 提出した先行技術が対象出願と大きく異なり、逆に新規性・進歩性が確認されてしまう
  • 情報提供により出願人が補正の機会を得て、権利範囲を適切に調整してしまう

匿名性の限界

形式上は匿名で提出可能だが、提出内容や使用する先行技術から提出者が推測される場合がある。


まとめ

情報提供制度は、無料かつ匿名で活用できる防御的知財戦略の有力ツールである。競合の特許出願を定期的に監視し、自社事業に影響のある出願に対しては迅速な情報提供を検討すべきである。

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