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日本特許庁の進歩性判断基準を審査基準と判例に基づいて解説。動機付けの判断、阻害要因の主張、顕著な効果の立証テクニックを紹介します。
日本特許庁における**進歩性(特許法29条2項)**の判断は、出願の成否を左右する最も重要な審査項目だ。本記事では、審査基準と判例に基づく進歩性判断の実務ポイントを解説する。
審査基準の判断手法
基本ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 本願発明を認定する |
| 2 | 引用発明を認定する |
| 3 | 本願発明と引用発明を対比し、一致点・相違点を認定する |
| 4 | 相違点に係る構成が容易に想到できるか判断する |
容易想到性の判断要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 動機付け | 引用発明を組み合わせる動機があるか |
| 設計変更 | 当業者の通常の設計変更の範囲内か |
| 設計事項 | 当業者が適宜選択し得る設計事項か |
| 阻害要因 | 組み合わせを阻害する要因がないか |
動機付けの6類型
審査基準では以下の動機付けが列挙されている。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| 1. 技術分野の関連性 | 同一または近接する技術分野 |
| 2. 課題の共通性 | 解決しようとする課題が共通 |
| 3. 作用・機能の共通性 | 同様の作用や機能を有する |
| 4. 引用文献中の示唆 | 引用文献に組み合わせの示唆がある |
| 5. 設計変更 | 構成の微差が設計変更の範囲 |
| 6. 先行技術の集合 | 複数の先行技術を組み合わせる合理性 |
阻害要因の主張テクニック
進歩性の反論で最も有効なのが阻害要因の主張だ。
| 阻害要因の類型 | 主張例 |
|---|---|
| 技術的矛盾 | 引用発明Aの構成と引用発明Bの構成は技術的に相容れない |
| 逆方向の示唆 | 引用文献は本願発明とは逆の方向を示唆している |
| 課題の非認識 | 引用文献の当業者は本願発明の課題を認識し得ない |
| 予測不能な効果 | 組み合わせにより予測できない効果が生じている |
顕著な効果の立証
| 立証方法 | 内容 |
|---|---|
| 比較実験データ | 引用発明との定量的な性能比較 |
| 予測との乖離 | 技術常識からの予測値との差異 |
| 実験成績証明書 | 審査段階で提出可能な追加データ |
まとめ
日本の進歩性判断は「動機付け」の有無が核心だ。出願明細書に阻害要因と顕著な効果を十分に記載し、審査段階では実験データで裏付けることが、登録への近道となる。