特許が認められるための最も基本的な要件が新規性だ。発明が出願前に公知となっていた場合、原則として特許は付与されない。しかし、例外規定の活用や適切な先行技術調査により、新規性の問題を回避・対処できる。
新規性の判断基準
| 公知のタイプ | 内容 | 例 |
|---|
| 刊行物公知 | 論文、特許公報等に記載 | 学術論文の掲載 |
| 公然実施 | 製品の販売・使用 | 製品の市場投入 |
| 電気通信回線 | インターネット上の公開 | Webサイト、SNS投稿 |
| 口頭発表 | 学会発表、プレゼン | 国際会議での発表 |
新規性判断のポイント
| 判断要素 | 基準 |
|---|
| 公知日 | 出願日(優先日)より前か |
| 開示内容 | クレームの構成要件がすべて開示されているか |
| 公知の地域 | 日本:世界中の公知が対象 |
| 実施態様 | 内部でのみ使用している場合は公然実施に該当しないことも |
新規性喪失の例外
日本(特許法30条)
| 項目 | 内容 |
|---|
| 適用期間 | 公知日から1年以内に出願 |
| 対象行為 | 発明者の行為に起因する公知 |
| 手続 | 出願時に申請書提出+30日以内に証明書提出 |
| 効果 | その公知を先行技術として引用されない |
米国(AIA §102(b)(1))
| 項目 | 内容 |
|---|
| 適用期間 | 公知日から1年以内に出願 |
| 対象 | 発明者自身またはその公知に由来する第三者の公開 |
| 手続 | 特別な手続不要(宣誓供述書が求められる場合あり) |
先行技術調査の実施方法
| ステップ | 内容 | ツール |
|---|
| 1. キーワード検索 | 技術用語で特許データベースを検索 | J-PlatPat、Google Patents |
| 2. IPC分類検索 | 関連するIPC分類で網羅的に検索 | Espacenet |
| 3. 引用調査 | 見つかった文献の引用・被引用を追跡 | Google Patents |
| 4. 非特許文献調査 | 学術論文、技術レポートの調査 | Google Scholar |
| 5. 結果の評価 | 見つかった文献との対比表を作成 | 手動分析 |
学会発表・展示会での注意点
| 行動 | リスク | 対策 |
|---|
| 学会でポスター発表 | 新規性喪失 | 発表前に出願するか例外規定を利用 |
| 展示会で試作品を展示 | 新規性喪失 | NDA締結下のクローズド展示に限定 |
| プレプリントサーバーに投稿 | 新規性喪失 | 投稿前に出願 |
| SNSで研究成果を投稿 | 新規性喪失 | 技術的詳細は出願後に公開 |
まとめ
新規性の確保は特許取得の大前提だ。学会発表や製品発表の前に必ず出願手続きを完了するか、例外規定の要件を確認しておくことが重要である。