この記事のポイント
特許の進歩性(日本)・非自明性(米国)を争う無効化攻撃への防衛策を解説。KSR判決後の判断基準と、進歩性を維持するための出願・答弁テクニックを紹介します。
特許無効の攻撃で最も頻繁に使われる理由が進歩性(非自明性)の欠如だ。「先行技術の組み合わせから容易に発明できた」という主張にどう対抗するかは、特許権者にとって最重要の実務課題だ。
進歩性の判断基準
日本の判断手法
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 本願発明と最も近い引用発明を認定 |
| 2 | 本願発明と引用発明の一致点・相違点を認定 |
| 3 | 相違点について、他の引用文献や技術常識から容易想到か判断 |
| 4 | 予期せぬ顕著な効果があるか検討 |
米国のKSR判決(2007年最高裁)
KSR v. Teleflex判決は、非自明性の判断基準を以下のように拡大した。
| 組み合わせの動機付け | 内容 |
|---|---|
| 明示的な示唆 | 先行文献に組み合わせの示唆がある |
| 設計上の選択 | 有限の選択肢からの選択に過ぎない |
| 市場の要求 | 市場ニーズが組み合わせを動機付ける |
| 技術常識 | 当業者の通常の創作能力の範囲 |
進歩性を守るための防衛策
出願段階
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| 予期せぬ効果の記載 | 引用発明の組み合わせから予測できない効果を明記 |
| 阻害要因の記載 | 先行技術が組み合わせを教示していない理由を記載 |
| 比較実験データ | 先行技術との定量的な性能比較を記載 |
審査段階(拒絶対応)
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| 相違点の明確化 | 審査官が見落としている技術的差異を指摘 |
| 二次的考慮要素の提示 | 商業的成功、長年の未解決課題、他者の失敗 |
| 宣誓供述書の提出 | 発明者による技術的説明と実験データ |
無効審判・IPR防衛
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| 先行技術の再調査 | 請求人が引用した文献の正確な教示内容を精査 |
| 組み合わせの動機付けの否定 | 先行文献間を組み合わせる合理的理由がないことを論証 |
| 後知恵バイアスの指摘 | 発明後に振り返って容易と判断する誤りを指摘 |
まとめ
進歩性の防衛は、出願段階から始まる。予期せぬ効果や阻害要因を明細書に充実して記載しておくことで、将来の無効化攻撃に対する防御力が大幅に向上する。