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世界の特許庁比較 — JPO・USPTO・EPO・CNIPA・KIPOの特徴

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この記事のポイント

世界5大特許庁(IP5)であるJPO・USPTO・EPO・CNIPA・KIPOの審査体制、費用、審査期間、特徴を徹底比較。出願先の選定に役立つ情報をまとめました。

世界5大特許庁(IP5)とは

世界の特許出願の約85%を占める5つの特許庁を「IP5」と呼びます。日本特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、欧州特許庁(EPO)、中国国家知識産権局(CNIPA)、韓国特許庁(KIPO)の5庁です。各庁はそれぞれ独自の審査基準と手続きを持ち、出願戦略を考える上で各庁の特徴を理解することが不可欠です。

各特許庁の基本情報比較

項目JPOUSPTOEPOCNIPAKIPO
年間出願件数約29万件約65万件約19万件約160万件約24万件
平均審査期間約14ヶ月約23ヶ月約26ヶ月約18ヶ月約16ヶ月
審査官数約1,700人約8,000人約4,500人約14,000人約1,800人
登録率約75%約53%約55%約45%約65%
審査言語日本語英語英・仏・独中国語韓国語

JPO(日本特許庁)の特徴

強み

JPOの最大の特徴は審査の質の高さ迅速な審査です。早期審査制度を利用すれば、出願から平均3ヶ月程度で最初の審査結果(ファーストアクション)を受け取ることができます。また、スーパー早期審査では最短1ヶ月以内の対応も可能です。

留意点

  • 出願言語は日本語のみ(外国語出願も可能だが翻訳文の提出が必要)
  • 審査請求制度があり、出願から3年以内に請求が必要
  • 実用新案制度も併存しており、戦略的な使い分けが可能

USPTO(米国特許商標庁)の特徴

強み

USPTOは世界最大の英語圏特許庁であり、仮出願(Provisional Application)制度が大きな特徴です。正式な特許明細書を準備する前に優先日を確保でき、スタートアップにとって大きなメリットがあります。また、継続出願や一部継続出願などの柔軟な出願制度も特徴的です。

留意点

  • 先発明主義から先願主義に移行済み(AIA法、2013年施行)
  • 情報開示義務(IDS)が厳格で、関連する先行技術の提出が必須
  • 審査期間が比較的長く、費用も高い傾向がある

EPO(欧州特許庁)の特徴

強み

EPOは1回の出願で最大39ヶ国で特許保護を受けられる効率的なシステムを提供しています。審査の質は国際的に高く評価されており、EPO特許は他国の審査でも参考にされることが多いです。

留意点

  • 登録後に各国への移行手続き(バリデーション)が必要で、翻訳費用が発生
  • 2023年に開始した統一特許制度(Unitary Patent)で手続きの簡素化が進行中
  • 異議申立制度があり、登録後9ヶ月以内に第三者が異議を申し立てられる

CNIPA(中国国家知識産権局)の特徴

強み

CNIPAは世界最大の出願件数を誇り、中国市場への参入に不可欠です。近年は審査の質の向上に注力しており、審査期間も短縮傾向にあります。実用新案と意匠の出願も非常に多く、包括的な知財保護が可能です。

留意点

  • 出願言語は中国語のみで、翻訳コストが発生する
  • 審査基準が他庁と異なる場合があり、特にソフトウェア・ビジネスモデル分野で注意が必要
  • 権利行使の実効性について、近年は大幅に改善されている

KIPO(韓国特許庁)の特徴

KIPOはデジタル化の先進庁として知られ、電子出願システムが高度に整備されています。審査期間も比較的短く、早期審査制度も充実しています。PPH(特許審査ハイウェイ)の活用も積極的で、他庁の審査結果を利用した迅速な審査が可能です。

出願先の選定ポイント

特許の出願先を選ぶ際は、以下の要素を総合的に判断することが重要です。

判断基準考慮すべきポイント
市場規模製品・サービスの主要販売先はどこか
競合状況競合他社がどの国で特許を取得しているか
費用対効果出願・維持費用と期待されるリターンのバランス
権利行使の実効性侵害時に効果的な法的手段が取れるか
製造拠点製造が行われる国での保護は必要か

まとめ

IP5各庁にはそれぞれ特徴があり、一概にどの庁が優れているとは言えません。自社のビジネス戦略に合わせて出願先を選定し、各庁の制度を最大限に活用することが重要です。PPH制度を活用すれば、1つの庁での審査結果を他庁の審査に活かすことも可能です。グローバルな特許戦略を構築する際は、各庁の最新情報を常にアップデートしておくことをお勧めします。

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