特許活用ガイド

PGR(付与後レビュー)の活用法 — 特許付与直後の無効化手続き

約3分で読める

この記事のポイント

米国のPGR(付与後レビュー)を解説。IPRとの違い、利用可能な無効理由の範囲、申立期限、戦略的な活用場面を紹介します。

PGRとは

PGR(Post-Grant Review:付与後レビュー)は、米国特許の付与後9ヶ月以内に利用できる特許無効化手続きです。IPR(当事者系レビュー)と同様にPTABで審理されますが、利用可能な無効理由がより広い点が特徴です。

IPRとPGRの違い

項目IPRPGR
申立期限特許付与後9ヶ月以降特許付与後9ヶ月以内
無効理由新規性・非自明性のみすべての無効理由
証拠の種類特許文献・印刷刊行物すべての証拠形態
開始基準合理的見込み少なくとも1つのクレームが無効である可能性が高い
利用頻度非常に多い比較的少ない

PGRで主張できる無効理由

PGRの最大の利点は、IPRよりも広い範囲の無効理由を主張できることです。

  • 新規性欠如(102条)
  • 非自明性(103条)
  • 記載要件違反(112条):明細書の記載不足、クレームの不明確さ
  • 特許適格性の欠如(101条):抽象的アイデアに過ぎないとの主張
  • 発明者の不正
  • 先の出願日を有する他者の出願との二重特許

PGRの戦略的活用場面

1. 記載要件や特許適格性で攻撃したい場合

IPRでは主張できない101条(特許適格性)や112条(記載要件)の問題を理由に特許を攻撃する場合、PGRが唯一の選択肢です。特にソフトウェア特許やビジネスモデル特許に対して有効です。

2. 早期に特許リスクを排除したい場合

競合特許が付与された直後に行動し、事業への影響を最小限にとどめたい場合に適しています。

3. 証拠の種類が限定的でない場合

公知使用や口頭発表など、印刷刊行物以外の証拠が利用可能なため、証拠の幅が広い場合に有利です。

PGRの手続きの流れ

  1. 特許付与の監視:競合他社の特許付与を定期的に監視する
  2. 9ヶ月以内の申立判断:付与後9ヶ月以内に申立を行うかどうかを迅速に判断する
  3. 申立書の準備:先行技術や無効理由を整理した申立書を提出する
  4. 開始決定:PTABが審理を開始するかどうかを決定する
  5. 審理・最終決定:開始決定から12ヶ月以内に最終判断が示される

注意点

短い申立期限

特許付与後9ヶ月という短期間で申立を準備する必要があるため、競合特許の監視体制が不可欠です。特許ウォッチングサービスの利用を検討しましょう。

高い開始基準

PGRの開始基準はIPRよりも高く設定されています。「無効である可能性が高い」ことを示す必要があり、申立の質が重要です。

禁反言の範囲

PGRの最終決定後の禁反言の範囲はIPRよりも広いため、PGRで主張しなかった理由も後の訴訟で制限される可能性があります。

まとめ

PGRは、特許付与直後に広い無効理由で攻撃できる強力な手続きです。ただし、申立期限が短く開始基準も高いため、競合特許の監視と迅速な意思決定が求められます。IPRとの使い分けを理解し、状況に応じて最適な手続きを選択しましょう。

関連記事

他の記事も読んでみませんか?

PatentMatch.jpでは、特許活用に関する実践的な情報を多数掲載しています。