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インドにおける特許取得と権利行使の実務ガイド。ソフトウェア特許の制限、強制実施権、審査の特徴を解説します。
インドは14億人の市場と急成長するIT産業を背景に、特許出願が急増している。しかし、ソフトウェア特許の制限や強制実施権制度など、日本企業が注意すべき独自の課題がある。
インド特許制度の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 存続期間 | 出願日から20年 |
| 審査制度 | 実体審査あり |
| 審査期間 | 通常3-5年(迅速審査で1-2年) |
| ソフトウェア特許 | 原則不可(3条(k)) |
ソフトウェア特許の制限
インド特許法第3条(k)は「コンピュータプログラムそのもの」を特許対象から除外している。ただし、技術的効果を伴うソフトウェア発明は特許可能だ。
| 特許可能 | 特許不可 |
|---|---|
| ハードウェアと連携するソフトウェア | 純粋なビジネス方法 |
| 技術的問題を解決するアルゴリズム | 数学的方法のみのソフトウェア |
| 制御システムの改良 | データ処理のみの方法 |
強制実施権(Compulsory License)
インドでは、特許が適切に実施されていない場合、政府が強制実施権を付与できる。2012年のNexavar事件が有名だ。
| 発動要件 | 内容 |
|---|---|
| 不実施 | 特許がインド国内で適切に実施されていない |
| 供給不足 | 合理的な価格で公衆に供給されていない |
| 公共の利益 | 国家の緊急事態や公衆衛生上の必要性 |
出願戦略
- 技術的効果の強調:ソフトウェア発明はハードウェアとの連携を明記
- 迅速審査の活用:スタートアップ・中小企業は無料で迅速審査が利用可能
- 現地製造の検討:強制実施権リスクを低減するためインド国内での実施
- 仮出願の活用:12ヶ月の猶予期間付きの仮出願制度
まとめ
インド市場の特許戦略は、制度上の制約を理解した上で、技術的効果を明確にした出願と現地での実施を組み合わせることが重要だ。