この記事のポイント
特許の強度(侵害立証のしやすさ、回避困難性、無効化リスクの低さ)を定量的にスコアリングする手法を解説。ポートフォリオ管理に活用できる実践的な評価基準を提供します。
すべての特許が同じ価値を持つわけではない。特許強度スコアリングは、保有する特許の「攻撃力」と「防御力」を定量化し、ポートフォリオの優先順位付けに活用する手法だ。
特許強度の評価軸
| 評価軸 | 内容 | 配点(100点満点) |
|---|---|---|
| クレーム範囲 | 独立クレームの広さ | 25点 |
| 回避困難性 | 設計変更による回避の難しさ | 25点 |
| 立証容易性 | 侵害の発見・証明のしやすさ | 20点 |
| 無効化耐性 | 先行技術による無効化リスクの低さ | 20点 |
| 残存期間 | 権利存続の残り年数 | 10点 |
各評価軸の詳細
クレーム範囲(25点)
| スコア | 基準 |
|---|---|
| 20-25 | 上位概念で記載、従属項も充実 |
| 10-19 | 適度な広さだが限定あり |
| 0-9 | 狭い、具体的実施形態に限定 |
回避困難性(25点)
| スコア | 基準 |
|---|---|
| 20-25 | 機能的クレームで代替手段も包含 |
| 10-19 | 一部の設計変更で回避可能 |
| 0-9 | 容易に回避可能 |
スコアリングの実施手順
- 対象特許の選定:ポートフォリオ全体または重要技術に関する特許を選定
- 評価チームの編成:技術者、弁理士、事業部門の3者で構成
- 個別評価:各評価者が独立してスコアリング
- すり合わせ:評価結果を持ち寄り、合意スコアを決定
- ランク付け:スコアに応じてA〜Dのランクを付与
| ランク | スコア | アクション |
|---|---|---|
| A | 80-100 | 戦略的に活用(ライセンス・権利行使) |
| B | 60-79 | 維持・改善(分割出願・外国展開) |
| C | 40-59 | 選択的維持(事業との関連性で判断) |
| D | 0-39 | 放棄候補(維持コストとの比較) |
スコアリング結果の活用
- ライセンス交渉:Aランク特許を中心にライセンスプログラムを構築
- 訴訟戦略:Aランク特許で権利行使、Bランク以下は防衛的利用
- 予算配分:Aランク特許への投資を優先、Dランクは放棄でコスト削減
- M&A評価:取得対象企業の特許ポートフォリオを客観的に評価
まとめ
特許強度スコアリングは、知財管理を「件数管理」から「品質管理」へ転換するための基本ツールだ。年1回のスコアリングレビューを習慣化することで、ポートフォリオの質を継続的に向上させることができる。