この記事のポイント
医薬品・農薬の特許存続期間延長制度の仕組みと実務をPatentMatch.jpがお届けします。
特許の存続期間延長制度とは
医薬品や農薬は、特許取得後も規制当局の承認(薬事承認、農薬登録)を得るまで販売できません。この承認取得に要した期間分だけ、特許の存続期間を延長できる制度があります。
制度の概要
| 項目 | 日本 | 米国 | 欧州 |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 特許法67条の7 | 35 USC 156 | SPC規則469/2009 |
| 延長可能期間 | 最大5年 | 最大5年 | 最大5年 |
| 対象 | 医薬品、農薬等 | 医薬品、農薬、食品添加物等 | 医薬品、農薬 |
| 延長後の最大期間 | 25年 | 制限なし(14年ルールあり) | 制限なし |
日本の制度詳細
延長の要件
- 特許発明の実施に政府の承認が必要であること
- 承認取得のために相当の期間を要したこと
- 延長登録の出願が期限内であること
延長可能な期間の計算
| 起算日 | 特許出願日または承認申請日の遅い方 |
|---|---|
| 終了日 | 最初の承認日 |
| 控除期間 | 出願人の責に帰すべき期間 |
| 最大延長 | 5年 |
延長の効力範囲
延長された特許の効力は、承認を受けた「物」と「用途」の範囲に限定されます。
米国の制度(Patent Term Extension)
ハッチ・ワックスマン法
米国では1984年のハッチ・ワックスマン法に基づき、以下の延長が認められます。
- 規制審査期間の延長: 最大5年
- 14年ルール: 延長後の残存期間は承認日から14年を超えない
- 1特許のみ: 1つの規制承認につき1件の特許のみ延長可能
欧州のSPC(補充的保護証明書)
欧州ではSPCにより特許満了後に最大5年の追加保護が付与されます。小児用医薬品の場合はさらに6ヶ月の延長が可能です。
実務上の注意点
- 出願期限: 承認日から所定期間内に延長出願が必要
- 対象特許の選定: 最も事業に重要な特許を選ぶ
- 複数国での延長: 各国で個別に延長手続きが必要
- 後発品(ジェネリック)対策: 延長期間中の後発品参入を阻止
存続期間延長は製薬・農薬企業の収益に直結する重要な制度です。