特許活用ガイド

特許の記載要件:サポート要件と実施可能要件の実務

約2分で読める

この記事のポイント

特許出願における記載要件(サポート要件・実施可能要件)の判断基準と対策を解説。拒絶対応の実務テクニックも紹介します。

特許出願が登録されるためには、発明が明確かつ十分に記載されている必要がある。記載要件の不備は拒絶理由の中で最も多い類型の一つであり、出願実務において最も注意が必要だ。


日本特許法の記載要件

要件条文内容
実施可能要件36条4項1号当業者が実施できる程度に記載されているか
サポート要件36条6項1号クレームが発明の詳細な説明に裏付けられているか
明確性要件36条6項2号クレームの記載が明確か

サポート要件の判断基準

偏光フィルム事件(知財高裁大合議)の基準

判断ステップ内容
1クレームの範囲を把握する
2明細書の記載から当業者が認識できる発明の範囲を把握する
3両者が対応しているかを判断する

サポート要件違反の典型例

類型
上位概念化の過度な拡張実施例が1種類なのにクレームが全種類をカバー
数値範囲の根拠不足実験データが特定点のみでクレームが広い範囲
効果の未記載クレームの構成が効果を奏する根拠が不明確

実施可能要件の実務

化学・バイオ分野の注意点

要素要求レベル
出発物質の入手方法市販品でない場合は製造方法を記載
反応条件温度、圧力、時間、触媒等の具体的条件
精製方法目的物の単離・精製手順
生物材料寄託機関への寄託が必要な場合あり

ソフトウェア・AI分野の注意点

要素要求レベル
アルゴリズムフローチャートまたは擬似コードの記載
入出力データデータ形式と処理の具体例
ハードウェア構成システム構成図の記載
学習データAI発明の場合、学習方法と評価結果

拒絶対応のテクニック

  1. 実施例の追加:明細書の補正で新たな実施例を追加することはできないが、実験成績証明書を提出できる
  2. クレームの適正化:明細書のサポート範囲にクレームを限定する
  3. 技術常識の主張:当業者の技術常識から見て明らかな事項は記載不要と主張

まとめ

記載要件は出願時の明細書の質で決まる。出願前に十分な実験データを蓄積し、クレーム範囲をカバーする明細書を作成することが、強い特許取得への第一歩だ。

他の記事も読んでみませんか?

PatentMatch.jpでは、特許活用に関する実践的な情報を多数掲載しています。