この記事のポイント
医薬品特許の存続期間延長制度を解説。薬事承認に要した期間を最大5年延長できる制度の要件、手続き、実務上の注意点をまとめます。
医薬品は特許取得後、臨床試験と薬事承認に長い期間を要します。その間、特許期間が実質的に短縮される問題を解決するのが「存続期間延長登録制度」です。
制度の概要
特許法第67条第4項に基づき、薬事法等の規制により特許発明を実施できなかった期間について、最大5年間の特許存続期間の延長が認められます。
延長の要件
- 有効な特許権が存在すること: 延長登録の申請時点で特許が有効であることが必要です
- 政令で定める処分を受けたこと: 医薬品の製造販売承認など、法律で定められた規制当局の承認を受けていること
- 処分を受けるために相当期間を要したこと: 承認に要した期間が実質的に特許の実施を妨げていたこと
- 特許発明の実施に必要な処分であること: 承認と特許発明との間に関連性があること
延長期間の計算
延長期間は「特許出願日から承認日までの期間」から「特許出願日から特許登録日までの期間」を差し引いた期間が基準となりますが、5年を上限とします。
実務上は、臨床試験開始から承認取得までの期間が算定の基礎となることが多く、4〜5年の延長が認められるケースが一般的です。
ジェネリック医薬品との関係
存続期間延長は、先発医薬品メーカーのジェネリック参入時期に直結します。延長された期間中はジェネリック医薬品の製造販売ができないため、先発メーカーにとっては数百億円規模の売上を左右する重要な制度です。
近年の論点
バイオ医薬品(抗体医薬など)の存続期間延長では、延長された特許の効力範囲が争点になることが増えています。承認を受けた有効成分・用途に限定されるのか、より広い範囲に及ぶのかについて、裁判例の蓄積が進んでいます。
まとめ
医薬品特許の存続期間延長は、製薬企業の収益に直接影響する重要な制度です。出願戦略の段階から延長を見据えた計画を立てることが不可欠です。