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標準必須特許(SEP)— FRAND条件と交渉戦略

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この記事のポイント

標準必須特許(SEP)のFRAND条件と交渉戦略の実務をPatentMatch.jpがお届けします。

標準必須特許(SEP)とは

標準必須特許(Standard Essential Patent)は、通信規格や技術標準を実装する際に必ず使用しなければならない特許です。5G、Wi-Fi、映像コーデックなどの技術標準に関連するSEPは、数十万件に上ります。

SEPとFRANDの関係

用語意味
SEP標準規格の実装に不可欠な特許
FRANDFair, Reasonable and Non-Discriminatory
FRAND宣言SEP保有者が標準化団体に対して公正な条件でライセンスすると約束
ホールドアップSEP保有者が不当に高いロイヤルティを要求する行為
ホールドアウト実施者がライセンス交渉を不当に引き延ばす行為

FRAND交渉のプロセス

ライセンサー(SEP保有者)側

  1. SEPの特定: 標準規格との対応関係(クレームチャート)の作成
  2. ライセンスオファー: FRAND条件でのオファー提示
  3. ロイヤルティの算定: 適切なロイヤルティレートの設定
  4. 交渉: 実施者との条件交渉
  5. 訴訟(最終手段): 交渉決裂時の差止請求

ライセンシー(実施者)側

  1. SEPの有効性確認: 対象特許が本当に標準必須かを検証
  2. カウンターオファー: 対案の提示
  3. 比較分析: 類似ライセンス契約との比較
  4. Willing Licensee: 誠実な交渉姿勢の証明

ロイヤルティ算定の方法

方法概要適用場面
トップダウン標準全体のロイヤルティ総額から按分SEP件数が多い場合
ボトムアップ個別特許の価値を積み上げ少数のSEPの場合
比較アプローチ類似のライセンス契約を参考先例がある場合

主要な判例と動向

Huawei v. ZTE(EU司法裁判所、2015年)

SEP保有者が差止請求を行うための手続的要件を示した画期的な判決です。

Sisvel v. Xiaomi(ドイツ、2023年)

FRAND交渉における「Willing Licensee」の判断基準を明確化しました。

EUのSEP規則案

欧州委員会はSEPに関する新規則を検討中です。ロイヤルティの透明性向上や必須性チェックの義務化が議論されています。

実務上のポイント

  1. クレームチャートの品質: SEPの必須性を証明する基礎資料
  2. 交渉記録の保持: 誠実な交渉姿勢の証拠
  3. グローバル戦略: 各国の裁判所の傾向を把握
  4. 特許プールの活用: Via Licensing、Sisvelなどのプール参加を検討

SEP交渉は通信業界だけでなく、IoT・自動車分野にも拡大しています。

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