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東南アジアの特許制度 — ASEAN各国の出願戦略

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この記事のポイント

ASEAN主要国(タイ・ベトナム・インドネシア・フィリピン・マレーシア・シンガポール)の特許制度と、効率的な出願戦略を解説します。

東南アジアの特許市場が注目される理由

ASEAN(東南アジア諸国連合)の人口は約6.8億人、GDPは3.6兆ドルを超え、世界有数の成長市場です。日本企業の製造拠点・販売市場として重要性が増す中、知的財産の保護は事業戦略上の必須課題となっています。

しかし、ASEAN各国の特許制度は統一されておらず、国ごとに出願手続き・審査基準・費用が大きく異なります。効率的に特許保護を行うためには、各国の制度を理解した上で戦略的に出願先を選定する必要があります。

ASEAN主要国の特許制度比較

国名特許庁審査制度審査期間存続期間
シンガポールIPOS実体審査あり2〜3年20年
タイDIP実体審査あり4〜6年20年
ベトナムNOIP実体審査あり3〜5年20年
インドネシアDGIP実体審査あり3〜5年20年
マレーシアMyIPO実体審査/修正実体審査2〜4年20年
フィリピンIPOPHL実体審査あり3〜5年20年

各国の特許制度の特徴

シンガポール

ASEAN随一の知財先進国です。審査品質が高く、英語で出願できるため、日本企業にとって最もアクセスしやすい国です。

  • 修正実体審査制度があり、JPO・USPTO・EPOなどの審査結果を利用して早期権利化が可能
  • **PPH(特許審査ハイウェイ)**に参加しており、日本の審査結果を活用できる
  • FinTech分野の早期審査プログラムあり

タイ

ASEAN第2位の経済規模を持ち、製造業の一大拠点です。

  • 審査の遅延が課題(4〜6年以上かかることも)
  • **小特許(Petty Patent)**制度があり、実体審査なしで早期権利化可能(存続期間は6年+2回更新で最大10年)
  • 日本とのPPHが利用可能で、審査の早期化に有効

ベトナム

急成長する製造・IT拠点として日本企業の進出が増加しています。

  • 審査期間は比較的長い(3〜5年)
  • 実用新案(実用新型)は実体審査なしで早期登録可能
  • 日本とのPPHが利用可能

インドネシア

ASEAN最大の人口(約2.7億人)を抱える巨大市場です。

  • 2016年の特許法改正で制度が整備
  • **簡易特許(Simple Patent)**制度あり(存続期間10年)
  • 審査期間の短縮が進行中

マレーシア

  • 修正実体審査制度があり、他国の特許査定を基に審査を受けられる
  • 英語での出願が可能(マレー語訳は後日提出可)
  • 日本とのPPHが利用可能

フィリピン

  • **ASPEC(ASEAN特許審査協力プログラム)**の活用により、他のASEAN国の審査結果を利用可能
  • 日本とのPPHが利用可能
  • 英語での出願が可能

ASEAN特許の出願戦略

戦略1:ASPEC の活用

ASPEC(ASEAN Patent Examination Cooperation)は、ASEAN加盟国間で特許審査結果を共有するプログラムです。1つのASEAN国で特許査定を受ければ、その結果を他のASEAN国での審査に利用できます。追加費用なしで審査を早期化できる非常に有効な制度です。

推奨フロー:

  1. シンガポール(またはマレーシア)で最初に出願・権利化
  2. ASPECを利用して他のASEAN国に展開

戦略2:PPH の活用

日本の特許査定を取得した後、PPHを利用してASEAN各国での審査を早期化する戦略です。

戦略3:重要市場の優先順位付け

全ASEAN国に出願するとコストが膨大になるため、以下の基準で優先順位をつけましょう。

  • 製造拠点がある国 — 模倣品の製造差止に必要
  • 主要販売市場 — 市場シェア確保のために必要
  • 模倣品リスクが高い国 — 予防的に特許取得

費用の目安(1カ国あたり)

費目概算費用
出願手数料(公費)2万〜8万円
翻訳費用5万〜20万円
現地代理人費用10万〜30万円
合計(出願〜登録)30万〜80万円

アクションプラン

  1. 事業計画に基づいて出願国を3〜4カ国に絞り込む
  2. シンガポールまたは日本で先に権利化し、ASPEC・PPHで展開する
  3. 製造拠点がある国は優先的に出願する
  4. 小特許・実用新案を活用して早期に権利を確保する
  5. 現地の知財事務所と連携し、各国の最新動向を把握する

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