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特許出願の費用はいくら?個人・中小企業向け完全ガイド2026

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この記事のポイント

特許出願にかかる費用の完全内訳を解説。特許庁への出願料・審査請求料・年金から弁理士費用の相場、減免制度、補助金活用まで。個人発明家・中小企業が知るべき全コストをPatentMatch.jpが徹底整理。

特許出願を検討するとき、最初にぶつかるのが「結局いくらかかるの?」という費用の問題です。

特許にかかる費用は、特許庁に支払う手数料(法定費用)と、弁理士に支払う報酬(専門家費用)の2つに大別されます。さらに、出願から権利維持までの各段階で異なる費用が発生します。

本記事では、2026年時点の最新料金に基づいて、特許にかかるすべての費用を一覧で整理します。加えて、中小企業・スタートアップ・個人発明家が活用できる減免制度や補助金も徹底解説します。


特許費用の全体像

費用の発生タイミング

特許にかかる費用は、大きく3つのフェーズに分かれます。

フェーズ時期主な費用
出願段階出願時出願料、弁理士への出願報酬
審査段階出願後〜3年以内審査請求料、中間対応費用
権利維持段階登録後〜最長20年特許料(年金)、管理費用

費用の総額目安

請求項5件の特許を弁理士に依頼して出願し、10年間維持した場合の総額目安です。

費用項目金額(目安)
特許庁手数料(出願料+審査請求料)約172,000円
弁理士報酬(出願+中間対応)約40〜80万円
特許料(年金10年分)約15〜20万円
合計約75〜120万円

これは標準的なケースであり、技術分野の難易度や請求項数、中間対応(拒絶理由通知への応答)の回数により大きく変動します。


特許庁に支払う費用(法定費用)

特許庁に支払う手数料は法律で定められた金額です。値引き交渉はできませんが、後述の減免制度を使えば大幅に軽減できます。

出願料

種類金額
特許出願(日本語)14,000円
外国語書面出願22,000円

出願料は出願時に支払います。この段階では審査は行われません。

審査請求料

出願しただけでは審査は始まりません。出願日から3年以内に審査請求を行い、審査請求料を支払う必要があります。

計算式
基本料138,000円
加算額+請求項数×4,000円

請求項数別の審査請求料

請求項数審査請求料
1件142,000円
3件150,000円
5件158,000円
10件178,000円
15件198,000円
20件218,000円

請求項数は権利範囲の広さに関わるため、少なければよいというものではありません。ただし費用を抑えたい場合は、必要最小限の請求項数に絞ることも1つの戦略です。

特許料(登録料・年金)

審査に合格(特許査定)すると、登録料(最初の3年分一括)を支払って特許権が発生します。以降は年金として毎年支払います。

年次計算式(基本料+請求項加算)
第1〜3年4,300円+請求項数×300円/年
第4〜6年10,300円+請求項数×800円/年
第7〜9年24,800円+請求項数×1,900円/年
第10〜25年59,400円+請求項数×4,600円/年

請求項5件の場合の年金シミュレーション

年次年額累計
第1〜3年(3年一括)5,800円×3=17,400円17,400円
第4年14,300円31,700円
第5年14,300円46,000円
第6年14,300円60,300円
第7年34,300円94,600円
第10年82,400円340,000円前後
第20年まで累計約120万円前後

後半になるほど年金額が急激に上昇するため、事業計画に基づいて「何年目まで維持するか」を戦略的に判断することが重要です。特許年金の管理方法も参照してください。

その他の手数料

手続き金額
出願審査請求書の補正無料
手続補正書(明細書の補正)無料
審判請求料(拒絶査定不服審判)49,500円+請求項数×5,500円
早期審査の申請無料
優先権証明書の請求1,400円

弁理士に支払う費用(専門家費用)

弁理士費用は法律で定められた報酬基準はなく、各事務所が独自に設定しています。以下は業界の一般的な相場です。

出願時の費用

項目相場
先行技術調査3〜10万円
明細書・請求の範囲の作成20〜50万円
図面作成1〜5万円
出願手続3〜5万円
出願時合計約30〜70万円

明細書作成費用は、技術分野の難易度と請求項数により大きく変わります。

技術分野明細書作成の相場
機械・構造20〜35万円
電気・電子25〜40万円
ソフトウェア25〜45万円
化学・バイオ30〜50万円
医薬品40〜60万円以上

中間対応の費用

特許庁から拒絶理由通知を受けた場合、意見書・手続補正書を作成して対応します。中間対応は1〜3回程度行われるのが一般的です。

項目相場
拒絶理由通知の検討2〜5万円
意見書の作成5〜15万円
手続補正書の作成3〜10万円
1回の中間対応約10〜25万円

登録時の費用

項目相場
登録料納付手続1〜3万円
成功報酬5〜15万円(事務所による)

弁理士事務所を選ぶポイント

  1. 技術分野の専門性: 自社の技術に詳しい弁理士を選ぶ
  2. 費用の透明性: 見積書で各項目の金額が明示されているか
  3. コミュニケーション: 技術内容の理解度、説明の丁寧さ
  4. 実績: 同業種・同技術分野の出願実績
  5. 中間対応の方針: 拒絶理由への対応方針を事前に説明してくれるか

弁理士の選び方の詳細も参考にしてください。


減免制度を活用して費用を抑える

対象者別の減免率

特許庁は以下の対象者に対して、審査請求料と特許料(年金)の減免制度を設けています。

対象者審査請求料特許料(第1〜10年)
中小企業1/2に軽減1/2に軽減
小規模企業1/3に軽減1/3に軽減
スタートアップ(設立10年未満・資本金3億円以下)1/3に軽減1/3に軽減
個人発明家(市町村民税非課税)免除免除
大学・TLO・公的研究機関1/2に軽減1/2に軽減
アカデミア発ベンチャー1/3に軽減1/3に軽減

減免制度のインパクト(請求項5件の場合)

費用項目通常額中小企業(1/2)スタートアップ(1/3)
審査請求料158,000円79,000円約52,700円
特許料(1〜10年合計)約25万円約12.5万円約8.3万円
特許庁費用合計約42万円約21万円約14万円
通常額との差額約21万円お得約28万円お得

減免制度の申請方法

2019年4月以降の出願については、手続きが大幅に簡素化されています。

  1. 出願時: 願書の「【手数料の表示】」欄に減免を受ける旨を記載
  2. 審査請求時: 審査請求書に減免申請の旨を記載
  3. 年金納付時: 同様に減免申請を記載

従来必要だった証明書類(中小企業であることの証明等)の添付は不要です。

減免制度の詳細もご覧ください。


補助金を活用して費用をさらに抑える

外国出願費用の補助金

海外への特許出願を検討している場合、最も使いやすい補助金が「中小企業等外国出願支援事業」です。

項目内容
対象費用外国への特許出願にかかる費用(翻訳料、現地代理人費用等)
補助率1/2
上限額1出願あたり150万円(複数国は300万円)
窓口各都道府県の知財総合支援窓口、ジェトロ

ものづくり補助金

新製品開発に伴う知財費用を計上できる場合があります。

項目内容
対象革新的な製品・サービス開発を行う中小企業
補助率1/2〜2/3
上限額750万円〜1,250万円(類型による)
知財費用出願費用・弁理士報酬を経費として計上可能

各都道府県独自の知財支援制度

多くの自治体が独自の知財支援補助金を用意しています。

  • 東京都: 外国特許出願費用の1/2補助(上限300万円)
  • 大阪府: 知的財産活動支援助成金
  • 愛知県: 中小企業知的財産活動支援事業

最新の補助金情報は、各自治体の公式サイトまたは知財総合支援窓口で確認してください。

特許関連の補助金一覧も参照してください。


費用を抑えるための実践的なテクニック

1. 出願前の先行技術調査を丁寧に行う

先行技術調査を入念に行うことで、特許性のない出願を防ぎ、無駄な費用を避けられます。

  • J-PlatPatで先行技術を調査
  • Google Patentsも併用して海外の先行技術もチェック
  • 調査結果を弁理士と共有し、出願の是非を判断

2. 請求項数を最適化する

請求項数が増えるほど、審査請求料と年金が増加します。必要な権利範囲を確保しつつ、不要な請求項を削減することでコストを抑えられます。

3. 早期審査を活用する

通常の審査は出願から1〜2年かかりますが、早期審査を申請すると2〜6ヶ月程度に短縮されます。早期審査の申請は無料で、以下の要件のいずれかを満たせば利用できます。

  • 既に実施している、または2年以内に実施予定
  • 中小企業・個人・大学等
  • 外国にも出願している
  • グリーン関連技術

4. 実用新案登録も検討する

特許と比べて費用が大幅に安い実用新案登録も選択肢の一つです。

比較項目特許実用新案
出願料14,000円14,000円
審査請求料138,000円〜不要(無審査)
権利期間出願から20年出願から10年
権利の強さ強い(審査済み)弱い(無審査)
弁理士費用30〜70万円15〜30万円

ただし実用新案は権利行使に制限があるため、技術の重要性に応じて判断してください。特許と実用新案の違いも参考にしてください。

5. 段階的に出願する

最初から完璧な出願を目指すのではなく、段階的に権利を拡充していく方法もあります。

  1. 国内出願: まず日本で出願(14,000円+弁理士費用)
  2. 市場反応を確認: 出願後1年以内に市場の反応を見る
  3. 審査請求の判断: 3年以内に審査請求するか判断
  4. 外国出願の判断: 優先権期間(12ヶ月)内に海外出願するか判断

個人発明家のための費用戦略

自力出願は現実的か

法律上、個人が弁理士を通さずに出願することは可能です。しかし以下の点に注意が必要です。

メリットデメリット
弁理士費用が不要明細書の記載不備で拒絶されるリスク
自分のペースで作業できる権利範囲が狭くなりがち
技術を一番理解しているのは自分中間対応の知識・経験が不足

個人が使える費用軽減策

  1. 知財総合支援窓口の無料相談: 弁理士による無料の出願相談
  2. 市町村民税非課税者の減免: 審査請求料・特許料が免除
  3. 特許出願等援助制度: 一定要件を満たす個人発明家向け
  4. 弁理士会の無料相談会: 各地域の弁理士会が定期開催

費用一覧まとめ

特許庁手数料一覧(出願から10年維持・請求項5件)

費用項目通常額中小企業スタートアップ
出願料14,000円14,000円14,000円
審査請求料158,000円79,000円52,700円
特許料(1〜10年)約250,000円約125,000円約83,000円
小計約422,000円約218,000円約149,700円

弁理士費用の目安

項目相場
出願(明細書作成含む)30〜70万円
中間対応(1回あたり)10〜25万円
登録手続5〜15万円
合計約50〜110万円

総額のレンジ

パターン総額目安
個人・自力出願(減免あり)約5〜15万円
中小企業・弁理士依頼(減免あり)約70〜130万円
通常(減免なし・弁理士依頼)約90〜150万円
外国出願を含む200〜500万円以上

アクションプラン

  1. 自社の対象区分を確認: 中小企業・スタートアップの要件を満たすか
  2. 減免制度の適用を確認: 該当する場合は出願書類に記載を忘れずに
  3. 弁理士に見積もりを依頼: 2〜3社から見積もりを取ると相場感がつかめる
  4. 補助金の活用を検討: 外国出願やものづくり補助金の公募時期を確認
  5. 先行技術調査を実施: 出願の是非を判断し、無駄な費用を避ける

特許費用は決して安くありませんが、減免制度と補助金を正しく活用すれば、負担を大幅に軽減できます。「費用が高い」と諦める前に、まずは知財総合支援窓口に相談してみてください。


最終更新: 2026年4月3日 本記事の特許庁手数料は特許庁公式料金表に基づいています。弁理士費用の相場は業界の一般的な水準であり、事務所により異なります。

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