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【データ分析】IPC分類別の特許出願トレンド2015-2025:10年間で何が変わったか

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この記事のポイント

Google Patents BigQueryの実データに基づき、2015年から2025年までのIPC分類別特許出願数の推移を分析。医薬品(A61K)、電池(H01M)、AI(G06F/G06Q)など主要分野の10年間の変化を読み解きます。

この記事のポイント:Google Patents BigQueryの実データに基づき、2015年から2025年までのIPC分類別特許出願数の推移を分析。医薬品(A61K)、電池(H01M)、AI(G06F/G06Q)など主要分野の10年間の変化を読み解きます。


IPC分類別出願数の10年推移

特許の国際分類(IPC)は、技術分野ごとの出願トレンドを俯瞰するための基本軸だ。Google Patents BigQueryから取得した2015年〜2025年の日本関連特許データを分析すると、技術パラダイムの転換が数字にはっきりと表れている。

全体の出願ボリューム推移

年度主要IPC合計出願数前年比
2020482,215
2021453,242-6.0%
2022389,149-14.1%
2023306,946-21.1%
2024127,265※集計途中
202539,569※集計途中

※2024・2025年は公報発行の遅延により、最終的な数値はさらに増加する見込み。


分野別の詳細分析

1. 医薬品(A61K):不動のトップだが縮小傾向

A61Kは2015年の81,931件から2023年の63,140件へと約23%減少した。しかし、全IPC分類の中で常にトップの出願数を維持しており、製薬業界の研究開発投資が依然として活発であることを示している。

年度A61K(医薬品)A61P(医療用途)
201581,93164,259
201885,000前後65,000前後
202095,33771,964
202278,57661,253
202363,14047,702

COVID-19関連の研究ラッシュにより2020年にピークを迎えた後、正常化の過程で減少していると考えられる。

2. 電池(H01M):EV需要が牽引する成長分野

H01M(電池)は2015年の46,716件から2021年の58,733件へと25%以上の増加を記録。EV市場の急成長に伴い、全固体電池やリチウムイオン電池の改良技術に関する出願が活発化した。

3. 半導体(H01L):構造変化の兆し

H01Lは2015年の62,962件から2023年の21,400件へと大幅に減少。ただし、これは出願数の純減というよりも、IPC体系の改正(H10K等への分散)やファブレス化の進展が影響していると見るべきだ。

4. AI・コンピュータ(G06F/G06Q):G06Qの急伸

G06F(汎用コンピュータ)は2015年の49,919件から減少傾向にあるが、G06Q(ビジネス・会計)は2023年に26,847件を記録し、FinTech・DX関連の出願増加を反映している。


注目すべき構造変化

バイオテクノロジー(C12N)の台頭

2022年にC12N(遺伝子工学)が27,364件でH01Lを抜いて4位に浮上。mRNAワクチンやゲノム編集技術(CRISPR-Cas9)の商用化が出願増加を後押しした。

無線通信(H04W)の安定成長

5G技術の標準化に伴い、H04Wは安定した出願数を維持。標準必須特許(SEP)の獲得競争が継続している。


実務への活用方法

特許出願戦略への示唆

  1. 成長分野(H01M・C12N・G06Q) は競争が激化するため、早期出願と権利範囲の明確化が重要
  2. 成熟分野(A61K・H01L) では差別化技術や改良発明にフォーカスすべき
  3. IPC横断分析 により、自社技術が複数分野にまたがる場合の戦略的出願が可能

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まとめ

IPC分類別の出願トレンドを10年スパンで分析すると、医薬品から電池・バイオへの重心シフトソフトウェア分野のG06QへのIPC移行半導体の構造変化という3つの大きな潮流が見える。自社の技術ポジションを客観的に把握し、出願戦略に反映するために、こうしたデータドリブンな分析を定期的に行うことを推奨する。


よくある質問(FAQ)

Q: IPC分類とCPC分類の違いは? A: IPCは世界知的所有権機関(WIPO)が管理する国際分類で、CPCは欧米特許庁が共同運用する細分化された分類。日本の特許庁はFI(ファセット分類)とFターム(技術主題分類)も併用している。

Q: 出願数の減少は技術の衰退を意味するか? A: 必ずしもそうではない。IPC体系の改正による分類の分散、技術の成熟による基本特許の確立、産業構造の変化(ファブレス化等)など複合的な要因がある。

Q: このデータはどこで入手できるか? A: Google Patents Public Datasets(BigQuery)で無料アクセス可能。J-PlatPatの統計情報や特許庁年次報告書も参考になる。

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