この記事のポイント
特許無効審判の手続き、費用、成功率を解説。進歩性欠如を理由とした無効化のテクニック、証拠の集め方、審判の流れを実践的に紹介します。
特許無効審判は、他社の特許が不当に登録されたと考える場合に、その特許を無効にするための手続きです。FTO調査で問題特許が見つかった場合や、侵害訴訟の反撃手段として活用されます。
無効審判の基本
請求できる無効理由
| 無効理由 | 条文 | 頻度 |
|---|---|---|
| 新規性欠如 | 第29条1項 | 高 |
| 進歩性欠如 | 第29条2項 | 最高 |
| 記載不備 | 第36条 | 中 |
| 新規事項追加 | 第17条の2 | 中 |
| 冒認出願 | 第49条7号 | 低 |
費用
- 審判請求料: 49,500円 + 5,500円×請求項数
- 弁理士費用: 50万〜200万円
- 証拠収集費用: 数万〜数十万円
成功率
統計的に約30〜40%の無効審判で特許が無効または一部無効となっています。
進歩性欠如の攻め方
進歩性欠如は最も多用される無効理由です。
基本戦略
- 主引用文献の選定: 対象特許に最も近い先行技術を選ぶ
- 副引用文献の選定: 差異部分を補完する文献を選ぶ
- 組合せの論理構築: 主引用と副引用を組み合わせる「動機付け」を主張
動機付けの主張パターン
- 技術分野の関連性: 同じ技術分野の文献であること
- 課題の共通性: 同じ技術課題を解決しようとしていること
- 作用・機能の共通性: 同じ機能を果たす技術であること
- 示唆・教示: 引用文献中に組合せを示唆する記載があること
審判の流れ
- 審判請求書の提出: 無効理由と証拠を記載
- 答弁書の提出: 特許権者の反論
- 口頭審理: 審判官3名の前で双方が主張
- 審決: 無効 or 維持の決定
- 不服申立: 知財高裁に審決取消訴訟が可能
まとめ
無効審判は強力な対抗手段ですが、成功には十分な証拠収集と論理構築が必要です。経験豊富な弁理士と協力して進めてください。
はい。利害関係の有無を問わず、何人も無効審判を請求できます。
請求から審決まで約1年〜1年半程度です。口頭審理は通常1回で終了します。
はい。むしろ侵害訴訟の被告が反撃として無効審判を請求するのは一般的な戦略です。訴訟中の無効の抗弁(特許法第104条の3)と併用することもあります。
はい。一部の請求項のみを無効にすることが可能です。特許権者が訂正審判で請求項を修正する場合もあります。
複数の無効理由を組み合わせる、強力な先行技術文献を複数準備する、審査経過を分析して弱点を突くことが有効です。