ライセンス実務

FRAND宣言特許のライセンス — 通信標準の実務

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この記事のポイント

FRAND宣言特許(標準必須特許)のライセンス実務と通信分野での適用を解説。PatentMatch.jpがお届けします。

はじめに

通信技術(4G/5G/Wi-Fiなど)の標準規格に不可欠な特許は「標準必須特許(SEP: Standard Essential Patent)」と呼ばれます。SEPの保有者は、標準化団体に対してFRAND(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory)条件でのライセンスを宣言する義務を負います。

FRANDとは

要素意味
Fair(公正)不当な条件を課さない
Reasonable(合理的)合理的なロイヤリティ率を設定
Non-Discriminatory(非差別的)同様の条件で全ての申込者にライセンス

FRAND宣言の背景

標準規格に準拠する製品を製造するには、SEPの使用が不可避です。特許権者がライセンスを拒否したり、不当に高いロイヤリティを要求したりすると、標準の普及が妨げられます。そのため、標準化団体はSEP保有者にFRAND条件でのライセンスを求めています。

FRANDロイヤリティの算定

累積ロイヤリティの問題

一つの製品に関連するSEPが数千件に及ぶ場合、個々の特許にロイヤリティを支払うと累積ロイヤリティ(ロイヤリティスタッキング)が製品価格を上回ってしまう問題があります。

主な算定アプローチ

  • トップダウン方式: 技術標準全体の適正ロイヤリティ総額を定め、個々の特許の貢献度で按分
  • ボトムアップ方式: 個々の特許の技術的貢献を評価して算定
  • 比較取引方式: 類似のライセンス取引事例を参考に算定

実務上の課題

ホールドアップ問題

標準が普及した後にSEP保有者が過大なロイヤリティを要求する問題です。標準の採用を決定した後では、他の技術に切り替えることが困難なため、SEP保有者の交渉力が不当に強くなります。

ホールドアウト問題

一方で、ライセンシー(実施者)がFRAND条件での交渉を引き延ばし、無断で特許を使用し続ける問題もあります。

差止請求の可否

FRAND宣言をした特許について差止請求が認められるかは、各国で判断が分かれています。欧州司法裁判所のHuawei v ZTE判決では、一定の条件のもとで差止請求が認められるとの判断が示されました。

通信以外への拡大

FRAND問題は通信分野だけでなく、IoT、自動車(コネクテッドカー)、映像コーデックなど、標準技術を使用するあらゆる分野に拡大しています。

まとめ

FRAND宣言特許のライセンスは、標準技術の公正な利用を確保するための重要な制度です。FRAND条件の解釈や算定は複雑ですので、専門家のサポートを受けることをお勧めします。PatentMatch.jpではSEP関連のライセンス相談にも対応しています。

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