この記事のポイント
IFRS(国際財務報告基準)における特許ライセンスの会計処理を解説。IFRS15とIFRS16の適用関係、収益認識と資産計上の実務を紹介します。
特許ライセンスの会計処理は、IFRSの複数の基準が絡み合う複雑な領域です。ライセンサー(権利者)とライセンシー(使用者)の双方で、適切な会計処理が求められます。
ライセンサー側の会計処理
IFRS15(収益認識)の適用
特許ライセンスの収益認識は、IFRS15「顧客との契約から生じる収益」に基づいて処理されます。
ライセンスの性質による分類:
- アクセス権型: 知的財産への「アクセスを提供する」約束。ライセンス期間にわたって均等に収益を認識します。
- 使用権型: 知的財産を「使用する権利を付与する」約束。ライセンス付与時点で一括して収益を認識します。
特許ライセンスは通常「使用権型」に分類され、ライセンス付与時に一時金収入を収益認識し、ロイヤリティは発生時に認識するのが一般的です。
ロイヤリティの収益認識
売上ベースのロイヤリティには「売上ベースロイヤリティの例外」が適用されます。実際の売上が発生するまで収益を認識しません。
ライセンシー側の会計処理
無形資産としての計上
一時金で取得した特許ライセンスは、IAS38「無形資産」に基づき、無形資産として計上します。ライセンス期間にわたって償却します。
リース基準(IFRS16)との関係
IFRS16はリース取引に適用される基準ですが、知的財産のライセンスはIFRS16の適用範囲から明示的に除外されています。したがって、特許ライセンスにIFRS16の使用権資産・リース負債の処理は適用されません。
税務との関係
会計上の処理と税務上の処理が異なる場合、一時差異が生じ、繰延税金資産・負債の計上が必要になることがあります。特に国際ライセンスでは、移転価格税制との整合性にも注意が必要です。
まとめ
特許ライセンスの会計処理は、ライセンスの性質(アクセス権型/使用権型)の判断が出発点です。会計基準の適用に迷う場合は、監査法人に早めに相談しましょう。