マッチング

特許マッチングプラットフォーム徹底比較2026年版:国内外の主要サービス一覧

約7分で読める

この記事のポイント

特許の売買・ライセンスを仲介するマッチングプラットフォームを徹底比較。JST知的財産マーケット、INPIT開放特許DB、yet2、Ocean Tomoなど国内外の主要サービスの特徴・料金・使い方を解説します。

「特許を売りたい」「ライセンスしたい」——そう思っても、相手をどう見つければいいのかわからない。これは多くの特許権者が直面する課題です。

特許マッチングプラットフォームは、特許の売り手(ライセンサー)と買い手(ライセンシー)をつなぐサービスです。近年、日本でも国の支援による公的プラットフォームから民間サービスまで、選択肢が増えています。

本記事では、2026年時点で利用可能な主要プラットフォームを徹底比較します。なお、大学技術の事業化については大学TLOガイド、スタートアップ向けサポートについては知財ファンドガイドもあわせてご参照ください。

国内プラットフォーム

1. JST 知的財産マーケット(J-STORE/知的財産マーケット)

運営: 科学技術振興機構(JST)

特徴:

  • 大学・公的研究機関の研究成果(特許・技術シーズ)を公開
  • 企業が大学の技術を探して産学連携できる
  • 登録は無料

対象ユーザー:

  • 技術を探している企業(ライセンシー側)
  • 技術移転を進めたい大学・TLO

メリット:

  • 大学発の先端技術にアクセスできる
  • 公的機関の運営で信頼性が高い
  • 利用料無料

デメリット:

  • 民間企業の特許は基本的に登録されていない
  • ライセンス交渉はJSTを通じて個別に行う必要がある

URL: https://jstore.jst.go.jp/


2. INPIT 開放特許データベース

運営: 独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)

特徴:

  • 大企業が保有する「開放特許」(ライセンス可能な特許)を公開
  • 中小企業が大企業の技術を活用できるマッチングを支援
  • 全国の知財総合支援窓口と連携

対象ユーザー:

  • 大企業の技術を活用したい中小企業
  • 自社特許のライセンス先を探している大企業

メリット:

  • 大企業の有望な技術に無料でアクセス
  • 知財総合支援窓口のコーディネーターが交渉を仲介
  • 中小企業の新製品開発に直結する実用的な技術が多い

デメリット:

  • 登録特許数は限定的
  • 最先端の技術より、成熟した技術が中心

URL: https://pdb.inpit.go.jp/


3. 特許流通データベース(特許庁関連)

特許庁は知財の流通促進に向けた各種施策を展開しています。

  • 知財総合支援窓口: 全国47都道府県に設置。特許のライセンス・売買の相談に無料で対応
  • 知財金融ポータル: 特許を担保とした融資制度の情報を提供
  • J-PlatPat: 特許の検索・分析に無料で利用可能(直接のマッチング機能はないが、買い手候補の特許調査に活用)

海外プラットフォーム

4. yet2

運営: yet2, Inc.(米国マサチューセッツ州)

特徴:

  • 世界最大級のテクノロジーマーケットプレイス
  • 技術の売り手と買い手をマッチング
  • グローバル企業の研究開発部門が多数参加

対象ユーザー:

  • 海外にライセンスしたい日本企業
  • 先端技術を導入したいグローバル企業

メリット:

  • グローバルな買い手ネットワーク
  • 匿名での技術掲載が可能
  • テクノロジースカウティングサービスあり

デメリット:

  • サービスは英語中心
  • プレミアムサービスは有料

URL: https://www.yet2.com/


5. Ocean Tomo(J.S. Held傘下)

運営: Ocean Tomo(J.S. Held傘下、米国シカゴ)

特徴:

  • 知財の投資銀行として世界的に著名
  • かつてはIPオークション(特許競売)を運営
  • 現在はプライベートセール・M&Aアドバイザリーが中心

対象ユーザー:

  • 大規模な特許ポートフォリオの売却を検討する企業
  • 知財関連のM&Aアドバイザリーを必要とする企業

メリット:

  • 世界トップクラスの知財取引ネットワーク
  • 専門家による特許価値評価サービス
  • 訴訟支援・エキスパートウィットネスも提供

デメリット:

  • 大規模案件が中心(小口の特許売買には不向き)
  • サービス料金が高い

URL: https://www.oceantomo.com/


6. その他の海外プラットフォーム

プラットフォーム特徴URL
IPXI(終了)かつての知財取引所。コンセプトは先進的だったが運営終了
Patent Auction特許オークション専門patentauction.com
Tynax特許ブローカーサービスtynax.com
ICAP Patent Brokerage特許仲介の大手icapip.com

プラットフォーム比較表

項目JST知財マーケットINPIT開放特許DByet2Ocean Tomo
運営JST(公的)INPIT(公的)民間(米国)J.S. Held(米国)
対象特許大学・研究機関大企業の開放特許グローバル技術大規模ポートフォリオ
利用料無料無料基本無料(プレミアム有料)案件ベースで高額
日本語対応△(英語中心)×(英語のみ)
マッチング方式検索+個別交渉検索+窓口仲介マーケットプレイスプライベートセール
おすすめ対象大学技術を探す企業大企業技術を使いたい中小企業海外ライセンス志向の企業大型売却案件

目的別おすすめプラットフォーム

「大企業の技術を使って新製品を作りたい」中小企業

INPIT 開放特許データベース がおすすめ。知財総合支援窓口のコーディネーターが交渉をサポートしてくれるので、ライセンス経験がなくても安心です。

「大学の研究成果を事業化したい」企業

JST 知的財産マーケット で技術シーズを探し、関心のある技術があればTLO(技術移転機関)を通じてコンタクトしましょう。詳細は大学TLOガイドをご参照ください。

「自社特許を海外企業にライセンスしたい」企業

yet2 で匿名掲載し、グローバルな買い手を探すのが効率的です。また、知財ファンドガイドで紹介しているIP Bridgeのような知財ファンドに委託する方法もあります。

「特許ポートフォリオをまるごと売却したい」企業

Ocean Tomo や専門の特許ブローカーに相談しましょう。大規模な取引では専門家のサポートが不可欠です。

マッチング成功のためのポイント

売り手(ライセンサー)として

  1. わかりやすい技術説明を用意する: 買い手は特許明細書を読むのが苦手。ビジネス言語で技術の価値を説明する
  2. 市場データを添える: その技術がどんな市場で使えるか、市場規模のデータを添えると魅力度UP
  3. 複数のプラットフォームに掲載する: 1つに限定せず、複数のチャネルで露出を増やす

買い手(ライセンシー)として

  1. 検索キーワードを工夫する: IPC分類コードやFIコードで検索すると、関連技術が見つかりやすい
  2. コーディネーターを活用する: 特にINPITの窓口は、マッチングのプロが対応してくれる
  3. デューデリジェンスを怠らない: ライセンスを受ける前に、特許の有効性と侵害リスクを確認

まとめ

特許マッチングプラットフォームは、特許の流通を促進し、日本のイノベーションエコシステムを活性化するための重要なインフラです。

公的プラットフォーム(JST、INPIT)は無料で気軽に始められます。まずはこれらのサービスに登録し、自社の特許がどのような反応を得られるか試してみてはいかがでしょうか。

掲載する技術の詳細は自分でコントロールできます。yet2のように匿名掲載が可能なサービスもあるので、まずは概要レベルの情報だけを公開し、興味を持った相手にのみ詳細を開示する方法が一般的です。
技術分野や市場の需給によりますが、一般的には3ヶ月〜1年程度は見ておく必要があります。人気の高いAI・バイオ分野の技術は比較的早くマッチングする傾向があります。
英語での技術説明・交渉能力は必要です。自社で対応が難しい場合は、海外ライセンスに対応できる弁理士事務所や、IP Bridgeのような知財ファンドに委託する方法があります。

関連記事

他の記事も読んでみませんか?

PatentMatch.jpでは、特許活用に関する実践的な情報を多数掲載しています。