この記事のポイント
特許のライセンス・売却前に実施すべきデューデリジェンスの項目と手順を解説。権利の有効性、侵害リスク、契約上の制約を確認する方法を紹介します。
特許のライセンスや購入を検討する際、表面的な情報だけで判断するのは危険です。デューデリジェンス(DD)を怠ると、無効な特許を高値で買ってしまうリスクがあります。
特許DDの主要チェック項目
1. 権利の有効性確認
- 特許が有効に存続しているか(年金の支払い状況)
- 無効審判が係属中または過去に請求されていないか
- 存続期間の残存年数はどのくらいか
2. 権利の帰属確認
- 登録名義人と売主(ライセンサー)が一致しているか
- 共有者が存在する場合、全共有者の同意が得られているか
- 従業員発明の場合、適切な権利移転手続きがなされているか
3. 既存の負担(エンカンブランス)
- 既に他社にライセンスされていないか
- 担保権(質権)が設定されていないか
- 裁判上の差止めや仮処分の対象になっていないか
4. 権利範囲の評価
- 請求項が対象製品・技術をカバーしているか
- クレーム解釈に曖昧性はないか
- 審査経過(包袋禁反言)による権利範囲の制限はないか
5. 無効リスクの評価
- 先行技術文献の存在
- 記載不備(実施可能要件、サポート要件の充足性)
- 出願時の手続き上の瑕疵
DD実施のタイミング
意向表明書(LOI)の締結後、正式契約の前に実施するのが一般的です。DD期間は2週間〜2ヶ月が目安で、複雑なポートフォリオの場合はさらに時間がかかります。
費用と体制
弁理士への依頼費用は、特許1件あたり10万〜30万円が相場です。ポートフォリオ全体のDDでは50万〜200万円程度になります。社内の技術者と外部の弁理士・弁護士のチームで対応するのが理想的です。
まとめ
デューデリジェンスは「保険」ではなく「必須プロセス」です。発見された問題は取引条件の交渉材料にもなるため、丁寧に実施しましょう。
必ずしも中止する必要はありません。問題の重大性に応じて、価格の引き下げ、表明保証条項の追加、問題解決を条件とする停止条件付き契約など、柔軟に対応できます。