この記事のポイント
特許売却・ライセンス取引におけるエスクローサービスの仕組みと活用方法を解説。取引リスクの軽減方法を紹介します。
特許取引では「代金を払ったのに権利が移転されない」「権利を移転したのに代金が支払われない」というリスクが双方に存在します。エスクローサービスはこのリスクを解消する仕組みです。
エスクローとは
エスクローは、信頼できる第三者(エスクローエージェント)が取引の完了まで代金や権利書類を預かる仕組みです。不動産取引では一般的ですが、知財取引でも活用が広がっています。
特許取引でのエスクローの流れ
- 契約締結: 売主と買主が譲渡契約を締結
- 代金預託: 買主がエスクロー口座に代金を入金
- 権利移転手続き: 売主が特許庁に移転登録申請を提出
- 確認: エスクローエージェントが移転登録の完了を確認
- 代金支払い: 移転完了を確認後、エスクロー口座から売主に代金を支払い
エスクローが有効な場面
初めての取引相手: 信頼関係が構築されていない相手との取引では、エスクローが安全装置として機能します。
海外との取引: 国際的な特許取引では、法制度の違いや言語の壁があるため、エスクローの必要性が高まります。
高額取引: 取引金額が大きいほど、双方のリスクも大きくなるため、エスクローの価値が高まります。
日本での利用状況
日本では知財専門のエスクローサービスは限られていますが、以下の方法で同様の効果を得られます。
- 弁護士のエスクロー口座: 弁護士が預り金として管理
- 信託銀行のエスクローサービス: 大手信託銀行が提供
- 海外のIPエスクローサービス: 国際取引の場合
手数料の目安
エスクロー手数料は取引額の1〜3%程度が一般的です。取引の安全性を考えれば、合理的なコストと言えます。
まとめ
エスクローは特許取引の安全性を高める有効な手段です。特に高額取引や初取引の相手とのディールでは、積極的に活用を検討しましょう。
代金の一部を前払い、残金を移転登録完了後に支払う段階的支払いが次善策です。ただし完全なリスク排除にはエスクローが最も確実です。