この記事のポイント
特許を海外企業に売却・ライセンスする際の税務上の注意点を解説。源泉税、租税条約、移転価格税制のポイントを整理します。
特許の国際取引では、国内取引にはない税務上の論点が発生します。源泉税の負担が取引の経済性に大きく影響するため、事前の税務検討が不可欠です。
ロイヤリティに対する源泉税
外国企業に対して特許のロイヤリティを支払う場合、日本では原則として20.42%の源泉徴収税が課されます。逆に、日本企業が海外からロイヤリティを受け取る場合、相手国の法令に基づく源泉税が課される可能性があります。
租税条約による軽減
日本は70カ国以上と租税条約を締結しており、ロイヤリティに対する源泉税率が軽減されます。
主要国の条約上の源泉税率(ロイヤリティ):
- 米国: 0%(日米租税条約)
- ドイツ: 0%
- 英国: 0%
- 中国: 10%
- 韓国: 10%
- インド: 10%
- タイ: 15%
租税条約の適用には「届出書」の提出が必要です。届出を忘れると、条約上の軽減率ではなく国内法の税率(20.42%)が適用されてしまいます。
特許売却(譲渡)の課税
特許権の譲渡対価についても、ロイヤリティと同様に源泉税の問題が生じる場合があります。ただし、多くの租税条約では「譲渡益」として別の条項が適用され、居住地国でのみ課税されるケースが一般的です。
移転価格税制
グループ企業間で特許をライセンスまたは売却する場合、移転価格税制に注意が必要です。取引価格が「独立企業間価格」(arm’s length price)と乖離している場合、税務当局により課税価格の修正を受けるリスクがあります。
消費税の取扱い
特許権の譲渡やライセンスが「国内取引」に該当するか「輸出取引」に該当するかで、消費税の取扱いが異なります。非居住者への権利譲渡は「輸出免税取引」に該当する場合があります。
まとめ
国際特許取引の税務は複雑で、事前の検討を怠ると予期せぬ税負担が生じます。国際税務に詳しい税理士や弁護士に相談することを強く推奨します。